iTT - 国際ツーリズムトレードショー
2025/6/25(水)-27(金)
2024年12月11日

旅行・宿泊業界の未来は?2024年のトレンドを読み解き、新たなビジネスチャンスを掴もう!

今年1年の2024年の旅行・宿泊トレンドは、もう掴んでいますか?

旅行者の価値観が多様化する勢いは止まらず、サステナブル旅行やローカル体験、デジタルノマドといった新たなニーズが浮上、旅行・宿泊業界は急速に変化するトレンドに直面しています。これらのトレンドを理解することは、新たなビジネスチャンスの創出や顧客獲得に不可欠といってもいいでしょう。

この記事では、2024年の旅・宿泊のトレンドを総括し、業界の未来を見据えた生き残り戦略について詳しく解説します。データや事例を交えながら、観光・宿泊事業者が取るべきアクションについても触れていきます。ぜひ最後までお読みいただき、新たなビジネスチャンスのヒントを見つけてください。

目次

激変する旅行ニーズ - 2024年のトレンドキーワードを読み解く
 ・サステナブル旅行
- 消費者の環境意識の高まり
 ・ローカル体験
- 地域の魅力を発掘し、効果的なPRを
 ・デジタルノマド
- 新しい顧客を取り込むための戦略

宿泊業界の生き残り戦略 - 2024年のトレンドからヒントを探る
 ・ユニークな宿泊施設 - 差別化を図り、価格競争から脱却するには?
 ・テクノロジー活用
- 顧客体験を向上させ、業務効率化を実現
 ・ウェルネス宿泊
- 健康志向の旅行者を取り込むには?

国際ウェルネスツーリズムEXPO - 業界の未来を創造する場

激変する旅行ニーズ - 2024年のトレンドキーワードを読み解く

旅行業界を取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、新たなトレンドが次々と生まれています。旅行者の価値観の多様化が進むなかで、旅行事業者は最新のトレンドを把握し、機敏に対応していくことが求められます。

2024年の旅行・宿泊業界でトレンドにあがったのは、「サステナブル旅行」「ローカル体験」「デジタルノマド」というキーワード。

それぞれについて詳しくみていきましょう。


サステナブル旅行 - 消費者の環境意識の高まり

ブッキング・ドットコムが2024年4月に発表した調査によると、世界の旅行者の75%が環境に配慮した旅行に興味を示していることが明らかになりました。昨今の環境問題への関心の高まりを背景に、旅行業界においても「サステナブル旅行」への注目度が飛躍的に上昇しているといえます。

【出展:サステナブルトラベルレポート / Booking.com】

サステナブル旅行とは、環境への負荷を最小限に抑えつつ、地域社会にも貢献する責任ある旅行のこと。環境への配慮は、もはや差別化戦略ではなく事業存続の必須条件となっており、この潮流に対応するためには、多角的なアプローチと積極的な情報発信が鍵となります。

旅行業界に求められる「サステナブル」な対応策には、具体的にどのようなものがあるでしょうか。

  • 宿泊施設における省エネルギー・省資源の徹底
    太陽光発電の導入などの再生可能エネルギーの積極的な導入やエネルギー効率の徹底的な見直し
  • 地域の食文化と連携した持続可能な食材調達
    地産地消の食事提供や 廃棄物削減、食品ロスを循環させる「循環型リサイクルシステム」の構築など
  • 地域の自然環境や文化遺産の保全に貢献する旅行プログラムの開発
    エコツーリズムや文化保護活動と連携したツアーの企画など、単なる環境対策を超えて、地域の自然・文化・経済に配慮した責任ある観光(responsible tourism)の実践

観光・旅行事業者が取るべきアクションは、明確なサステナビリティ戦略の策定と、その可視化です。環境認証の取得、CO2排出量の開示、地域貢献活動の積極的な情報発信などを通してサステナブルな取り組みを積極的にアピールすることは、企業イメージの向上にも繋がり、ひいては新たな顧客層の獲得にも寄与するでしょう。


ローカル体験 - 地域の魅力を発掘し、効果的なPRを

近年の旅行トレンドは「表面的な観光」から「深い地域理解」へと大きくシフトしています。

英国ロンドンに本社を置くグローバル市場調査会社・ユーロモニターインターナショナルの2024年8月の調査では、地元の文化、コミュニティ、自然への没入を求める旅行者は、ガイド付きツアー、博物館や文化施設の訪問、国立公園や自然保護区といったカテゴリーに強い関心を持っているという結果が出ています。

旅行者が求めているのは非日常的な体験だけでなく、その土地ならではの文化や生活に深く触れる「ローカル体験」なのです。

地域の魅力を発掘するためには、以下の戦略が有効です。

  • 地元のステークホルダーとの密接な連携
    地域の職人、農家、伝統工芸の担い手などと協働し、伝統文化や地場産業と連携した体験プログラムを開発する
    例)地元ガイドによる少人数制ツアー、地域住民との交流イベント、地域特産品を活かした食体験など
  • SNSやウェッブコンテンツなどのデジタルマーケティングを効果的に活用
    地域の本質的な魅力を可視化し、地域ならではの文脈や独自の価値を旅行者に伝える仕組みを作る

観光・旅行事業者には、地域の魅力を発掘し、旅行者に魅力的に伝える役割が求められています。
単なる観光地巡りではなく、その土地固有の物語と生活文化に触れ、地域の日常生活や文化に深く入り込む「ローカル体験」を旅行者に提供することで、顧客満足度を高め、ひいてはリピーターの獲得に繋がる効果も期待できます。


デジタルノマド - 新しい顧客層を取り込むための戦略

インターネット環境さえあれば、場所を選ばずに仕事ができるデジタルノマドは、近年増加している注目の顧客層です。
A Brother Abroad 2022年の調査によると、デジタルノマドは世界で3500万人の市場規模とされています。日本もデジタルノマド誘致のための制度化に動き出しており、2024年4月にデジタルノマドビザに関わる法改正の施行(出入国管理法の改正)を行いました。

【出典:「デジタルノマド 2024」トラベルボイス】

観光・旅行事業者は、この「場所にとらわれない働き方」を志向する新たな顧客層を取り込むために戦略を綿密に立てる必要があります。

デジタルノマド向けの理想的な宿泊・滞在環境とはどんなものでしょうか。

  • 信頼性が高く、かつ、高速のインターネット環境
  • 機能的でフレキシブル、快適なワークスペース
  • コミュニティ交流の機会が充実した施設
  • ワーケーションに適した宿泊プラン


単なる宿泊施設を超えて「働く・つながる・成長する」プラットフォームとしての価値を提供し、デジタルノマドのニーズに的確に対応することできれば、長期滞在の顧客を獲得し、安定した収益を確保できる可能性が高まります。

宿泊業界の生き残り戦略 - 2024年のトレンドからヒントを探る

宿泊業界は、旅行者のニーズの多様化や競争の激化といった課題に直面しています。

デジタル技術の進化、旅行者のニーズの多様化、そして持続可能性への要求が従来のビジネスモデルを根本から揺るがし、2025年以降もこの傾向は続くと予想されます。勝ち残っていくためには、前章で見てきたような最新のトレンドを捉え、適切な戦略を立てることが重要です。

本稿では、激変する市場環境において生き残るための3つの戦略的アプローチを詳しく解説します。
鍵となるのは「ユニークな宿泊施設」「テクノロジー活用」「ウェルネス宿泊」の3つです。


ユニークな宿泊施設 - 差別化を図り、価格競争から脱却するには?

近年、宿泊施設の選択肢が増加する中で、価格競争に陥りやすいという問題があります。この価格競争から脱却し、安定した収益を確保するためには、他の宿泊施設との差別化が不可欠です。

そこで注目されているのが、ユニークな宿泊施設の提供です。

(例)

  • 古民家をリノベーションしたゲストハウス
  • 地域の伝統工芸と連携した宿泊施設
  • 農家と提携した農泊体験
  • 地域の自然を存分に味わえるグランピング施設やツリーハウス

このような他にはない宿泊体験を提供することができれば、価格競争に巻き込まれることなく顧客を惹きつけることができます。価格競争ではなく、価値競争の時代に突入しているのです。


宿泊施設が提供する体験がユニークであればあるほど、顧客は高い料金を支払う意欲があります。このような背景から、事業者は従来の枠にとらわれない発想で地域資源を活用したユニークなプランや体験型サービスを導入し、自社の差別化を図ることが求められます。


テクノロジー活用 - 顧客体験を向上させ、業務効率化を実現

テクノロジーの進化は、宿泊業界にも大きな影響を与えています。顧客体験の向上と業務効率化の両立は、宿泊施設の経営において重要な課題であり、デジタル技術はもはや選択肢ではなく必須アイテムとなっています。
 

(例)

  • オンライン予約システムやセルフチェックイン・チェックアウトシステム
  • AIチャットボットによる24時間カスタマーサポート
  • IoTを活用した客室環境の自動最適化
  • スマートキーやスマートスピーカーを導入した非接触型のサービス提供
  • バーチャルツアーやAR技術を活用した事前体験サービス


効果的なテクノロジー活用のポイントは、単なるデジタル導入ではなく、顧客の本質的なニーズに応える技術投資をすること。人間的な温かみとテクノロジーの融合が、これからの宿泊サービスの鍵となるでしょう。

【出典:「観光DX2023」トラベルボイス】


ウェルネス宿泊 - 健康志向の旅行者を取り込むには?

健康と旅行の融合は、もはや一過性のトレンドではありません。

Global Wellness Instituteのレポートによると、ウェルネスツーリズム市場は成長を続けており、2020年から2025年にかけて年平均20.9%の成長が見込まれています(Global Wellness Institute, "The Global Wellness Economy: Country Rankings")。

多くの旅行者が「心身ともにリフレッシュできる宿泊」を求めるなか、ヨガや瞑想プログラム、スパトリートメント、オーガニック食材を使った食事の提供など、ウェルネスにポイントを置いたサービスを提供する宿泊施設も増えています。

競争が激しくなるなか、単に「健康」と銘打った宿泊施設では不十分かもしれません。栄養士と連携し宿泊者の健康状態や好みに合わせた食事プログラムを開発したり、地域の自然環境を活かしたヨガや瞑想プログラムを提供したり、健康志向の旅行者を取り込むためには、科学的根拠に基づくことも必要です。睡眠を重視することもトレンドになってきているので、質の高い睡眠をサポートする客室環境や、脳波計測や睡眠分析機器などを導入し、宿泊者の睡眠の質の改善提案まで行うサービスは、差別化の決定打となるでしょう。

ウェルネス宿泊はリピーター獲得にも効果的であり、一度体験した顧客が再度訪れ、収益拡大に繋げられる可能性を秘めています。

国際ウェルネスツーリズムEXPO - 業界の未来を創造する場

2024年の旅行・宿泊トレンドは、サステナブル旅行、ローカル体験、デジタルノマド、そしてユニークな宿泊施設、テクノロジー活用、ウェルネス宿泊といった多岐にわたるキーワードで彩られています。これらのトレンドを理解し、いち早く事業戦略に反映させることで、大きなビジネスチャンスをつかめる可能性があります。

成功の鍵は、旅行者の多様なニーズの変化や業界の動向に目を配ること。公的機関のデータや調査機関のレポートを活用することで、これらのトレンドを客観的に把握することは可能です。しかし、生の情報や熱気、そして業界関係者との直接的な交流を通して、より深い理解と新たな発想を得るためには、展示会への参加が最も効果的です。

「国際ウェルネスツーリズムEXPO」は、全国各地から集まる業界関係者と密に情報交換ができるだけでなく、自団体・施設をPRできるまたとない機会です。年に一度しかないこの機会、皆様の事業発展とともに業界の未来を共に創造しましょう。

展示会に関する情報

第3回 [国際]ウェルネスツーリズム EXPO
会期: 2025年6月25日(水)~27日(金)
会場: 東京ビッグサイト
主催: RX Japan株式会社
同時開催展:  第2回 観光DX・マーケティングEXPO

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